画像001


「くっくぅー、くっくぅーー!」娘がお気に入りの靴を履きたいとしゃくれた半べそ顔でせがんでくる、家の中で。良いさ。履けば良いさ、履きたいんだろ?いま家の中で履かないと気が済まないんだろ?だったら履けば良いさ。おれはお前のそんな顔を見るのが耐えられない。その苦痛に比べれば後で掃除をするくらい朝飯前さ。夕飯前だけど。なんて思う視界の端から「この人履かせる気だな」という妻の視線を感じる。すかさず「いまこの人履かせる気だなと思ったでしょ?」「ええこの人履かせる気だなと思ったわよ。」とおれの解釈で妻の承諾も得た。ありがとう。もう恐れるものはない。娘に靴を履かせると「アンパンマン!ごんぐり(どんぐり)!イヤーー!!」と満面の笑みで狂喜の奇声を発している。おれは心からこれで良かったと思った。その狂喜と引き換えに掃除のレベルが大幅に上がることに気づくのは、少しだけ先の話だ。